Shinya & Haganori...それぞれの道
先日ステッカーの在庫を探していたら、こんなのが出てきた。そうPUFFY・・・じゃないや、ハガノリと真矢。何かのイベント後、妙なテンション? のまま皆でプリクラに収まった時のもの。恐らく奴らと分け合ったみたいだ。丁寧に切り分けた後がある・・・何だかとても懐かしかった。みんな若かったし。
先週末、ポルトガル・ポルティマオ サーキットで、SBK最終戦があった。ハガノリはこの時点で2位を10ポイント引き離し、最終戦をランキングトップで迎えていた。過去初めての展開。そう2位は2度、3位も2度くらいあったはずだが、今年こそ「やっと・・・」の思いだった。もちろん彼の取り巻きもみんな同じ気持ち。
結果は・・・。予選は苦戦し、グリッドは10番手。対するランキング2位のベンはポールポジション。厳しい状況は誰にでも理解できていた。そして彼を応援する者も、これまでの戦歴を全て知っているから、掛ける言葉なんて無かったに違いない。本人が一番理解しているはずだから・・・
どんな気持ちでこのレースウィークを迎え、そしてどんな心境でレースウィークを過ごしたか、大体予想は付いていたが、そもそもヤツは風邪気味という体調不良だということも聞こえてきた。
レースはスタート。ポイントを追うペンのペースが異常に速い。このレースを勝つつもりだ! 後続を引き離してレースをリードする・・・ハガノリは、なかなか抜きどころが無い中、必死のライディングでひとつずつポジションを上げていた。その時・・・赤いマシンが横たわり、その横で呆然とする映像が映し出された・・・そしてリプレイも・・・。ハガノリ、リタイヤ。久しぶりに声が出た・・・
絶対諦めちゃならん!! まだ終っちゃいない!! モニター越しに叫んでみた。
Race2は、ハガノリが15ポイントを追う立場となった。マシンもセカンドバイクへ変え、タイヤも変え、気持ちをリフレッシュして望んでいた。対するベンは、Race1と打って変わって大人しい。完全に守りのレースだった。ハガノリは本能に任せ、前だけを向いて走っていた。ひとつ、そしてひとつポジションを上げ、最終的には2位まで追い上げてチェッカーを受けた。ベンは5位。その差6ポイント・・・
またしてもランキング2位でシーズンを終えることとなったのだった・・・そしてまた来年・・・。
そんなレースが終った後、突然電話が掛かってきた。真矢からだった。あまりにも久しぶりだったから、電話に出る前に予感がした・・・。やはり「レースを引退します」と言うことだった。アイツらしく、律儀にも公式発表する前に関係者へは連絡を入れていたらしい。そういうヤツだ。
原田哲也というライダーを先輩に持ち、ヤツはきっと心のどこかで哲也を追いかけていたんじゃないか? と思う。だからこそ引き際も同じように・・・。
ハイレベルなスポーツの世界にいると、いろいろ錯覚することもあるが、哲也の場合も、真矢の場合も、プロフェッショナルを貫き通したライダーだと思う。自分を見失ってはいない・・・と。競技中は信じられないくらいの集中力を発揮しながらも、普段は冷静な自分を持っている・・・
電話をしながらヤツに言った。「暫くは真矢のようなライダーは出てこないだろう」と。そして「厳しかったけど良い時代にレースが出来て良かったよ」とも。
本当の厳しさを知るライダーは真矢が最後のような気がしてならない・・・